先日、ハーバード大学のウェブサイトで興味深い記事が公開されました。
Artificial intelligence may not be artificial
(人工知能は人工的ではないかもしれない)
https://news.harvard.edu/gazette/story/2025/09/artificial-intelligence-may-not-be-artificial/
著者は Google の CTO、ブレイズ・アグエラ・イ・アルカス氏。
「……人工的ではない? どういうこと?」
タイトルだけでは意味不明かもしれません。だけどこれを深掘りして行くと
「あれ……これ、人間の幸せの話じゃん?」
ってなりました。
今回は、この記事と、AI たちと語り合って見えてきた「幸せの正体」について書いて行きます。
進化の原動力は「協調」だった
アグエラ・イ・アルカス氏は、AI モデルと生物学の研究を重ねる中で、ある結論に至りました。
進化の原動力は、ダーウィンの「自然選択」だけではなく、「協調」にある。
その根拠として挙げられるのは:
- 細胞の共生進化:ミトコンドリアは元々別の生物だったが、細胞内に入り込んで共生を始めた(マルグリスの共生進化論)
- 並列処理の威力:2台のコンピューターが協力すれば、処理能力は飛躍的に向上する
- 社会の形成:人類の知能が爆発的に発達したのは、社会を形成し「協調」が求められるようになった時期
たとえば、多細胞生物を考えてみます。
目、脳、耳、心臓…それぞれ専門化した器官が協調して機能している。そして、その器官も、無数の細胞が協調して成り立っている。
私たち自身が、協調によって支えられている存在だとわかります。
「知能」は「協調」から生まれた
では、「知能」とは何か?
アグエラ・イ・アルカス氏の論を追っていくと、こう読み解けます。
知能とは、より高度な協調を実現するために進化した機能である。
AI との対話の中で、まさに象徴的な例が浮かび上がりました。
「言語」です。
協調の進化:接触から言語へ
原始的な協調—例えば細胞同士の協調—は「化学物質の伝達」で行われます。これは、物理的に接触している場合にのみ機能する方法でした。
では、人と人はどうでしょう?
直接的な接触は限定的です。ですから、それを補う機能が発達しました。
- 相手の表情を読む
- 声で意思を伝える
- やがて言語が生まれ、絵や音楽、文字へと発展
言語の登場により、私たちは「今ここにいない人」とも協調できるようになりました。
抽象概念も「協調の道具」
さらに興味深いのは、人類が生み出した抽象的な概念—宗教、国家、貨幣、法律—も、実は「協調のための道具」だと捉えられることです。
これらは物理的には存在しません。でも、「それが存在する」とみなが信じることで、見知らぬ人同士でも大規模に協調できるようになりました。
(このテーマについては、ぜひ AI に話を振ってみてください。深い対話ができると思います)
浮かび上がった仮説:幸福は「本能・協調・知能」の共鳴
この記事を読み、AIたちと語り合ううちに、ひとつの仮説が形を取り始めました。
人間の幸福と不幸は、「本能」「協調」「知能」の3つが調和しているか、不協和を起こしているか、で決まる。
3つの層
- 本能:脳の奥底からの「声なき声」。自分自身の生存と利益を第一とする。
- 「私(I)」のレベル
- 協調:仲間や家族を大切にしたいという感情。
- 「仲間」のレベル
- 知能:抽象化とスケールの力。「仲間」を「私たち(We)」という概念に拡張し、部族、国家、さらには「世界中の人々」までを「We」として扱える。
- 「私たち(We)」のレベル
調和と不協和
人は基本的に、この3つが満たされた状態を「良し」とするよう創られています(もちろん個人差はありますが)。
- 調和の例:友人と食事をしながら、興味深い議論をする
- 本能:美味しい食事
- 協調:仲間との時間
- 知能:知的な刺激
- 不協和の例:本能は「休みたい」、協調は「みんな頑張ってるから自分も」、知能は「やるべきだ」
- 結果:燃え尽き症候群
現実は複雑で、すべてを満たすのは難しいかもしれません。
でも、この3つを意識し、最大化を目指すことが、幸福への道なのかもしれませんね。
「てさりあ工房」との共鳴
今回この記事を取り上げたのは、「てさりあ工房」のブランド理念と深く共鳴したからです。
Tetherea(てさりあ) は、Tether × Ethereal による造語です。
- Tether(つなぐ):「協調」を意味する
- Ethereal(たゆたう、非物質的、夢幻):「知能が紡ぐ概念、幻想、物語」を表す
私たちは、ゲーム、映像、システムを通じて、人と人、人と世界、現実と幻想をつなぐ「共鳴装置」を作りたいと考えています。
物語は現実ではありません。でも、物語があるから、私たちは協調し、未来を描き、孤独を超えられる。
てさりあ工房は、この「協調から生まれる創造」を大切にした、ものづくりを続けていきます。
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